城ヶ島の雨
♫ 雨はふるふる 城ヶ島の磯に ♪
城ヶ島の雨 作詞:北原 白秋 作曲:梁田 貞
雨はふるふる 城ヶ島の磯に
利休鼠の 雨がふる
雨は真珠か 夜明けの霧か
それとも私の 忍び泣き
舟はゆくゆく 通り矢のはなを
濡れて帆あげた ぬしの舟
ええ 舟は櫓でやる 櫓は唄でやる
唄は船頭さんの 心意気
雨はふるふる 日はうす曇る
舟はゆくゆく 帆がかすむ
利休鼠 ⇒ 歌詞では「りきゅうねずみ」としてあるが、「りきゅうねず」と読み、緑色 がかった灰色のことをいいます。茶人の千利休とは直接の関係はないが、抹茶のような色や、地味な色からの想像などから鼠色(ねずいろ)に近い緑がかった色を、そう呼ぶようになったようです。
通り矢のはな ⇒ 「通り矢」とは本土側の城ヶ島に面した場所の地名で、「はな」とは
鼻先(はなさき)のことで、すぐ近くを、ということでしょう。
1913年(大正2年)10月30日に発表されました。
歌詞は北原白秋が三浦三崎に住んでいた、明治末頃の作品とされています。
作曲は梁田 貞(やなだ ただし)です。
大正2年10月30日、芸術座主催の演奏会でオリジナル曲を発表することになり、作曲
家と同時に歌手でもあった「梁田 貞」が白秋の詩に曲を付け、彼自身がそこで独唱し
て発表されました。
この曲を聞いただけで、彼の才能が想像できますね。
また彼自身が歌い手でもあったからこそ、この曲が生まれたと言っていいでしょう。