わすれな草(信時 潔)
♫ ながれのきしの ひともとは ♪
わすれな草 原詩:W・アレント 訳詞:上田 敏 作曲:信時 潔
流れの岸の 一本(ひともと)は
御空(みそら)の色の 水浅葱(みづあさぎ)
波ことごとく 口づけし
はたことごとく 忘れゆく
水浅葱(みずあさぎ)= 「水色がかった浅葱色」のことで、緑がかった明るく薄い青色のこと。
原詩はドイツの詩人、ウィルヘルム・アレント(Wilhelm Arent 1864-1913)によるものです。
上田 敏(うえだ びん)1874年(明治7年)- 1916年(大正5年)
評論家、詩人、翻訳家、文学博士。
信時 潔(のぶとき きよし)1887年(明治20年) - 1965年(昭和40年)
作曲家、音楽学者、チェロ奏者。
ところで「忘れな草」はなぜその名が付けられたのでしょうか、それはウィルヘルム・アレントの母国であるドイツの悲しい伝説が元になっています。
昔、騎士ルドルフはドナウ川の岸辺に咲く花を恋人ベルタのために摘もうと岸を降りました、ところが足を滑らせて川に落ちてしまいます。しかし彼は最後の力をふりしぼって手につかんだ花を彼女に向かってこう叫びながら投げました。
「Vergiss-mein-nicht」(僕を忘れないで)
残された恋人ベルタはルドルフの墓にその花を供え、彼の最期の言葉を花の名にしたのです。この伝説から、忘れな草はドイツでは「Vergiss-mein-nicht」と呼ばれ、英語も直訳の「 Forget-me-not」です。花言葉の「真実の愛」「私を忘れないで下さい」も、この伝説に由来するものです。日本では明治時代に植物学者の川上滝弥によって、「勿忘草」「忘れな草」と訳されました。(参考資料:Wikipedia ワスレナグサ)