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花 (瀧廉太郎・四季より)

花 (瀧廉太郎・四季より)

  ♫ はるのうららの すみだがわ  ♪



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   作詞 : 武島 羽衣  作曲 : 瀧 廉太郎


春のうららの 隅田川
のぼりくだりの 船人が
櫂のしずくも 花と散る
ながめを何に たとうべき


見ずやあけぼの 露浴びて
われにもの言う 桜木を
見ずや夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳を


錦おりなす 長堤に
暮るればのぼる おぼろ月
げに一刻も 千金の
ながめを何に たとうべき 

瀧廉太郎の組歌「四季」の第1曲で、荒城の月と共に彼の代表作となっています。

歌詞の意味

※ うらら ⇒ のどかな日の光や穏やかな空気のことです。
※ 見ずや ⇒ 見ることをしないのか=見ないのか ⇒ ご覧なさい。
※   ⇒ 数種類の色糸で、地色と文様を織り出した色鮮やかな絹織物のことです。

春の穏やかな陽光を受けて、優しい雰囲気を醸し出している隅田川。往来する船の櫂から落ちるしずくも、まるで花が散っていくように見える。この美しい眺めは何事にも例えようがない。

ご覧なさい、ほのぼのと夜が明け始める頃に朝露に濡れて私に話しかけているような桜の木を。夕暮れにはそよ風に揺れて私に手招きしているような柳の枝を。

美しく織り上げられた錦のようにさえ見える長い堤防に、夕方になれば昇ってくる春の霞んだ月。ほんの少しの間でも千金にも値するほどのこの美しい眺めは何事にも例えようがない。


叙情組曲「瀧廉太郎」~合唱と室内アンサンブルによる~



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