田舎の四季
♫ みちをはさんで はたいちめんに ♪
田舎の四季 作詞:堀沢 周安 作曲:不詳
1
道をはさんで 畠一面に
麦は穗が出る 菜は花盛り
眠る蝶々 とび立つひばり
吹くや春風 たもとも軽く
あちらこちらに 桑つむ少女
日まし日ましに 春蚕も太る
2
ならぶ菅笠 涼しいこえで
歌いながらに 植え行く早苗
ながい夏の日 いつしか暮れて
植える手先に 月かげ動く
かえる道々 あと見かえれば
葉末葉末に 夜つゆが光る
3
二百十日も 事なくすんで
村の祭の 太鼓がひびく
稲は実がいる 日和はつづく
刈ってひろげて 日に乾かして
米にこなして 俵につめて
家内そろって 笑顔に笑顔
4
松を火にたく いろりの側で
夜はよもやま 話がはずむ
母がてぎわの 大根なます
これが田舎の 年こしざかな
棚の餅ひく ねずみの音も
更けて軒端に 雪降り積る
1910年(明治43年)7月「尋常小学読本唱歌」に掲載されました。
昭和7年の新訂版で、以下の二箇所が変更されています。
3番・ 米にこなして ⇒ もみに仕上げて
4番・ 松を火にたく ⇒ そだを火にたく
1番 畠(はた) ⇒ 畠(はた・はたけ)=畑
1番 春蚕(はるご)⇒ 春から初夏にかけて飼うカイコ
2番 早苗(さなえ)⇒ 苗代から田へ植えかえるころの稲の苗
3番 実がいる ⇒ 実が入る=実がはいる・実が熟れる
3番 こなして ⇒ 熟して=やり遂げる・完成させる
4番 大根なます ⇒ 大根膾=大根・人参を細く切って酢で和えた食べ物
4番 棚の餅ひくねずみの音 ⇒ 棚にある餅を、ねずみが食べようと動かす音
作詞の「堀沢 周安(ほりさわ ちかやす)」について
1869年(明治2年)~1941年(昭和16年)
作詞家であり、また教育者でもありました。
国文学を学び、長野県、香川県、愛媛県で教員を務めながら、校歌や市町村歌を多数作詞しました。