藤の花
♫ 野山もかすむ 春雨の ♪
藤の花 文部省唱歌
1
野山もかすむ 春雨の
晴れて なごりの
「水嵩に 車はげしや藤の花」
しぶきに濡れて 日に映ゆる
2
雲雀の声は 夕空に
消えて此方の
「薮畠や 穂麦にとどく藤の花」
しずかに揺れて 日は暮るる
1912年(大正元年)文部省編「尋常小学唱歌」第四学年用
歌詞は俳句をそのまま取り入れており、また他の部分も情景が浮かぶようですが、曲は4分音符を並べただけの単調なメロディーで、やや退屈な感じです。
歌詞中の「 」内の部分は以下の俳句がそのまま取り入れてあリます。
1番 「水嵩に 車はげしや藤の花」
江戸時代後期を代表する女流俳人の「市原 多代女」(1776-1865)の俳句です。
2番 「藪畠や穂麥にとゞく藤の花」
江戸時代前期-中期の俳人で「宮崎荊口」(?-1725)の俳句です。彼は美濃・大垣藩士で、元禄2年(1689年)大垣をおとずれた松尾芭蕉を歓待しています。